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小説

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」:私たちの値札

とても良い作品でした。言葉ではなかなか表しきれません。 結佳、若葉、信子の3人はニュータウンに住み、仲良く遊ぶこともある小学生四年生の女子です。物語は結佳の視点で語られます。結佳はとにかく人のことを観察します。 太くて黒いゴムでぼさぼさの髪...
エッセイ

外山 滋比古「思考の整理学」:飛行機人間になりたい

「東大・京大で1番読まれた本」というキャッチコピーに完全に釣られ、読みました。面白かったです。 思考の整理の仕方を論文みたく筋道立てて書かれている本である、と読む前は思っていましたが、どうやら違いました。細かく章立てられていて、新聞のコラム...
ノンフィクション

村上春樹「アンダーグラウンド」:ほんとうに何が起こったのか?

1995年3月20日に起きた、地下鉄サリン事件に関してのインタビューによるノンフィクションです。被害にあわれた方やそのご家族、病院のお医者さんへのインタビュー等が主です。村上春樹によるインタビュイーの人物紹介、各路線で起きたこと、「はじめに...
未分類

沙藤 一樹「プルトニウムと半月」:立入禁止区域の中で

2011年に福島第一原子力発電所による事故が起きた時、2000年に書かれたこの本のことを思い出しました。 海に面して建てられた原子力発電所の、原子炉が爆発した。当然、周囲は放射能で汚染され、あたりは立入禁止区域になった。それが、半径30キロ...
小説

沙藤 一樹「D-ブリッジ・テープ」:夢の橋の上で

「D-ブリッジ」の「D」はDUMPのDでもなくDUSTのDでもなくDREAMのDです。 おそらくは不法投棄によって、横浜ベイブリッジ(作中の通称D-ブリッジ)は、かつての夢の島ゴミ処理場のようにゴミだらけになっています。 作品は、大人たちの...
小説

小林泰三「安楽探偵」:椅子に座ったまま事件解決

現場には行かず、椅子に座ったまま事件を解決する「安楽椅子探偵」が活躍する連作短編集です。「アイドルストーカー」「消去法」「ダイエット」「食材」「命の軽さ」「モリアーティ」の6編が収められています。 どれもどのように論理が進んでいくのか、ミス...
漫画

手塚治虫「手塚治虫名作集⑥白縫」:手塚治虫の描く「愛」

集英社文庫から出ている「手塚治虫名作集⑥白縫」です。「白縫」「ブタのヘソのセレナーデ」「コラープス」「月と狼たち」「ヤジとボク」「シャミー1000」の6編が収められた短編集です。比較的シリアスな作品もあれば、若干力の抜けたような感じの作品も...
小説

レマルク「西部戦線異状なし」:反戦の書

「西部戦線異状なし」は、ドイツ生まれのレマルク(1898-1970)による作品で、第一次世界大戦の西部戦線の状況を、18歳のドイツ兵パウル・ボイメルの視点から描いています。 僕らのほうの損害は、思ったより少かった。戦死五人に、負傷者八名だ。...
小説

小林泰三「完全・犯罪」:完全であり、犯罪である。

小林泰三と書いて、「こばやしやすみ」と読みます。最初、完全に「たいぞう」だと思っていました。本書には「完全・犯罪」「ロイス殺し」「双生児」「隠れ鬼」「ドッキリチューブ」の5つの短編が入っています。全般的に、オチのあるSFやミステリといった趣...
小説

村田沙耶香「コンビニ人間」:普通の人と普通じゃない人

コンビニで働く時のみ「世界の歯車になれる」と感じているコンビニバイト歴18年の古倉さん(女性)の話です。 冒頭の幼少時代のエピソードから飛ばしています。公園の死んだ小鳥のエピソード(食未遂)や、ケンカしている男子を止めるエピソード(物理)な...