村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」:私たちの値札

とても良い作品でした。言葉ではなかなか表しきれません。

結佳、若葉、信子の3人はニュータウンに住み、仲良く遊ぶこともある小学生四年生の女子です。物語は結佳の視点で語られます。結佳はとにかく人のことを観察します。

太くて黒いゴムでぼさぼさの髪をひっつめにした信子ちゃんは
「そのゴム、かわいいー。どこで買ったの?」
と若葉ちゃんの編みこみを爪に土の欠片が入った人差し指でたどった。

全編にわたって出てくる信子ディスがたまりません。作者も楽しんでいるのでは?と思います笑
仲良く遊んだ結佳、若葉、信子の3人は「また同じクラスになろう」と約束するのでした。

そして、もう一人の重要な登場人物である、習い事の習字で一緒の伊吹くんとは、村田沙耶香さんの作品らしい関係というか…、一般的な恋愛もの(?)では描かれなさそうな関係性で続いていきます。

「この街のイメージカラーは白なんだよ」

と教えてくれたのは結佳の父親です。ニュータウンらしく、開発は進み、どんどん白くなっていきます。習字の墨汁の黒との対比でしょうか。主人公の結佳の停滞感と共に、街の開発も停滞していくように感じられます。

中学生になった結佳は、クラス内での序列をはっきりと感じます。女子のグループは五つあり、下から二番目の「おとなしい女子」に結は存在します。若葉は一番上、信子は一番下のグループにいます。少なくとも、結佳はそのように感じています。昔の念願が叶って3人とも同じクラスになったものの、仲良く遊ぶことはないのでした。結は一人ひとりに貼り付けられた「値札」を意識して、学校生活を送ります。

「一番上」のグループの若葉も、楽しそうかというと…

「女王様のご褒美みたいに周りの女の子に喜ぶ言葉を与えていた昔と違って、今はただ、小川さんに必死にそれをお供えし続けていた。」

なんだか辛そうです。

「一番上」の男子も、結佳からみると「自分で創り上げた自分のキャラクターに酔いながら」、「一番下」とされた女子にひどいことを言ったりやったりします。

上記では全く表せていませんが、とても力強く、美しい作品です。読んでいただけたらわかりますので、ぜひ。

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