村上春樹「アンダーグラウンド」:ほんとうに何が起こったのか?

1995年3月20日に起きた、地下鉄サリン事件に関してのインタビューによるノンフィクションです。被害にあわれた方やそのご家族、病院のお医者さんへのインタビュー等が主です。村上春樹によるインタビュイーの人物紹介、各路線で起きたこと、「はじめに」、まとめのような「目じるしのない悪夢」といった文章も含まれています。

1995年は1月17日に阪神淡路大震災に見舞われ、3月20日には地下鉄サリン事件が起きるなど、立て続けに大変なことが起こった年なのだなと改めて思いました。

本書は、

一九九五年三月二〇日の朝に、東京の地下でほんとうに何が起こったのか?

を明らかにする試みであるといえると思います。文庫本で777ページありますが、読むことで少しでも「ほんとうに何が起こったのか」に近づけていると良いなと思います。おそらく、「ほんとうに何が起こったのか」は一言で説明できるような類のものではなく、重層的、多面的に知って想像力を働かせた上で、ようやく感覚的に少しだけ理解できるような、説明するにはかなり難しいことのように感じました。

この辺りを境に、村上春樹さんは「善き物語」というのを意識して創作していらっしゃるのでしょうか?

「悪しき物語」を凌駕する「善き物語」が生まれることを願って、この本をおすすめします。

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