レマルク「西部戦線異状なし」:反戦の書

「西部戦線異状なし」は、ドイツ生まれのレマルク(1898-1970)による作品で、第一次世界大戦の西部戦線の状況を、18歳のドイツ兵パウル・ボイメルの視点から描いています。

僕らのほうの損害は、思ったより少かった。戦死五人に、負傷者八名だ。

レマルク作 秦豊吉訳「西部戦線異状なし」

戦死や負傷が日常茶飯事であることがわかります。

もう死んでいた。その顔は涙に濡れている。両方の目はまだ半分ばかり開いていた。古い角のボタンのように黄色かった。

レマルク作 秦豊吉訳「西部戦線異状なし」

仲間の死も描かれます。また、仲間との楽しげな会話も時にはあります。

どこにも逃げ道はない。僕は砲弾の火の光った瞬間に、頭を上げて野原の上を見渡してみた。見渡すかぎり荒れ狂う海だ。砲弾の細長く噴き出す焔は、噴水のごとくに飛び出した。

レマルク作 秦豊吉訳「西部戦線異状なし」

情景の描写、心情の描写は真に迫るものがあります。

作者のレマルクも第一次世界大戦で従軍していたということなので、その体験が元になったようです。戦線における劣悪な環境や被害・加害、パウル・ボイメルの心情とその変化等が描かれますが、それが司令部報告にどのように表されるかというと「西部戦線異状なし」。インターネット等でも戦争に関する様々なニュース(「ガザで戦闘続く」「ロシア軍 東部ドネツク州で攻勢強める」「シリア北東部空爆で8人死亡」etc…)が報じられますが、その中に大勢のパウル・ボイメルがいるということを、この物語をとおして改めて感じました。

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